刑務所からの絵本

  • 2008/11/03(月) 10:20:04

どうしてパパは刑務所に入らなければならないの?なんでお家に帰ってこられないの?パパと一緒にいられないのだったら、僕がここに残るよ──。ザクセン州ライプツィヒ刑務所の面会室。子どもは面会時間が終わっても、なかなか帰りたがらない。こんな時、親はなんて答えたら、どう対応したらいいのだろうか。そんな悩みを抱える受刑者7人が集まり、自分の息子、娘に送る絵本を描いた。塀の中にいるパパでも、愛して欲しいという願いを込めて。

絵本製作に参加したKさん(39)は、暴行罪で服役中。入所前は修理工として働いており「ここ20年、文字なんて書いたことがない」という男性だ。しかもKさんはトルコ出身。母国語ではないドイツ語で何かを書くという作業は普通ならお手上げといったところだが、それでも所内の掲示板を見て、すぐさまこの企画への応募を決意した。

物語の主人公は、アレッサちゃん。幼稚園から戻ると、パパとママの様子がなんだか変。パパは大きなかばんを背負い、ママは悲しそうに「パパは刑務所にいかなくちゃいけないの」と伝える、という筋書きになっている。

絵本製作を思い付いたのは、同刑務所で心理学者として働くボルヒャートさん(29)だった。親との面会のために、刑務所に来る子どもが多いことに気付いたのがきっかけになったという。ボルヒャートさん自身の5歳になる娘も、幼稚園で友達と一緒に描いた絵を提供、こうして絵本「夢で会おうね──刑務所にいるパパの物語(Wir treffen uns im Traum - Eine Geschichte über Papa im Gefängnis)」が完成した。

この絵本の初版は300部で、ザクセン州にある刑務所10カ所の面会室に置かれている。今後はさらに増版し、ほかの州の刑務所や児童福祉局、そしていずれは本屋にも並べることができれば、とボルヒャートさん。また何よりも本の製作を通して、囚人たちの心に落ち着きが見られるようになったことが嬉しい、との言葉を寄せている。

受刑者が絵本を描くという独自の試みは、確実に実を結んでいるようだ。

「Der Spiegel」誌
"Dein Papa muss ins Gefängnis"

ビクトリア・ベッカムの祖先はドイツ人

  • 2008/09/22(月) 02:55:37

甘いマスクを持つ人気サッカー選手デービッド・ベッカムの夫人として、一世を風靡した元スパイス・ガールズの「ポッシュ・スパイス」として、世界的に有名な英国人タレントのビクトリア・ベッカムさんが、なんとドイツ人の血を引いていることが明らかになった。しかもそのご先祖となるドイツ生まれの人物は、ロンドンに集う知識人たちと交遊を持つ文化人だったらしい。

この事実を発見したのは、バーデン=ヴュルテンベルク州シュヴァーベン地方のハイルブロンに住むハンス・ミュラーさん(71)。歴史に興味を持ち、地元市民の家系について何十年も前から調査を行っていたという。ビクトリアさんの家系に結び付いたのは全くの偶然で、調べた本人が一番びっくりしている。

さて肝心のビクトリアさんの祖先とは、1844年に英国に渡ったカール・ハインツ・プフェンダー氏。共産主義の革命家であった彼は、同じくロンドンに亡命していたカール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスなどと交流を深めていたという。プフェンダー氏の職業は装飾画家、そして彼の息子も画家だったというから、ビクトリアさんもアーティストとしてはなかなか良い血筋を引いているといったところか。

先のミュラーさんは、プフェンダー氏の調査のために3度英国に赴き彼の出生届などを調査していた際、同氏の孫リリアンさんの死亡広告から、アダムズと呼ばれる一家が彼の子孫に当たることを発見する。そう、ビクトリアさんの旧姓はアダムズ。プフェンダー氏はビクトリアさんの、ひいひいひいおじいさんだったのだ!

ミュラーさんはこの大発見にご満悦のようで、「機会があれば是非ビクトリアさんとお知り合いになりたい」と興奮気味。ハイルブロン市も「ベッカム夫人をハイルブロン市に招待したい」と大歓迎する意向を示している。血のつながりがあると分かった途端、地元市民の誰もがビクトリアさんに急に親近感を抱いてしまうのだから面白い。

ビクトリアさんの訪問は、果たして実現するのか。

「Die Welt」紙 "Ex-Spice-Girl Victoria Beckham ist eine Schwäbin"






空前の炭酸飲料水ブームが到来

  • 2008/08/28(木) 18:26:08

「おいしくて健康的」との評判でドイツ国内はもとより、米国、日本にも上陸したオーガニックのノンアルコール炭酸飲料水「ビオナーデ(Bionade)」の大ヒットで、空前の炭酸飲料水ブームが到来している。

ビオナーデは、バイエルン州にある破産寸前のビール醸造所の失敗作から生み出されたという代物。ビールのように麦芽を発酵させて造るという奇抜な製造方法に加えて、「マグネシウムとカルシウムが豊富」「低糖、低カロリー」、おまけに「オーガニック」ときたら、人気沸騰となるのも不思議はない。お味も「エルダー・ベリー」「ジンジャー・オレンジ」「ライチ」「ハーブ」と豊富に揃っているのが嬉しい。

発売当時は鳴かず飛ばずだったというが、ハンブルクのあるバーで評判になったことをきっかけに、2003年は200万本、04年は700万本、05年は2000万本、06年は7000万本、そして昨年は2億本以上を売り上げるまでに急成長。果実風味の炭酸飲料水としては、国内でファンタ、スプライトに次ぐ売上高を誇るという。

だがここでライバルが出現。果実風味炭酸飲料水の老舗であるジナルコからも「ジナコナーデ」が、ディスカウント・ストアのプルスからは「マルトナーデ」が、アルディから「ビオ・ドリンク」が……と類似商品が続々と登場しているのだ。

もちろんビオナーデも黙っているわけがなく、酷似しているとの理由で他社製品の販売中止を訴えている。ところがライバル会社も負けてはいない。ビオナーデには内容量表示に記されているほど十分なマグネシウムとカルシウムが含まれていないとの訴えが出され、裁判所は同表記の修正を求める判決を出した。

最近では追い打ちをかけるように、あのコカ・コーラ社までもが30歳以上のオトナを対象にした甘さ控えめの炭酸飲料水を発売すると発表。こちらはオーガニックではないが「ブラッドオレンジ・サボテン」「レモン・ビャクシン」「グリーンマンゴー・キウイ」と多様な味が用意されていて、やはりビオナーデを意識した対抗商品だ。強敵の出現に、さあ、元祖ビオナーデはどう出る?

「Die Welt」紙 "Bunter Bionade-Rausch"






田舎のサッカー・チームがリーグ1部に from Germany

  • 2008/07/18(金) 17:26:21

バーデン=ヴュルテンベルク州にある人口わずか3300人の村、ホッフェンハイムのサッカー・チーム「1899ホッフェンハイム」が、来季から1部リーグのブンデス・リーガでプレーすることになった。この快挙に村中が興奮で湧き上がる一方、否定的な意見もちらほら出てきているという。

ホッフェンハイムは何を隠そう、企業向けのソフトウェア大手SAPの創設者の1人でドイツを代表する億万長者、ディートマー・ホップ氏(68)の故郷。ホップ氏もプレーしたことがある地元サッカー・クラブを、同氏が1991年から資金面で支援するようになったのが運命の変わり目だった。当時は最下位となる8部リーグから7部リーグに昇格したばかりの弱小チームだったが、同氏による大規模な強化案が実って、2006/2007シーズンには2部昇進を決めるなど、以後はとんとん拍子で上昇してきた。

2006年になると、ホップ氏はブンデス・リーガでの経験が豊富なラルフ・ラングニック氏を監督に、ホッケーの元ドイツ代表監督ベルンハルト・ペータース氏をスポーツ・ディレクターに迎えるなど、トップ・クラスの指導者を結集させた。指導部だけでなく、有能な選手も次々と獲得。小さな田舎から生まれたこのチームが選手獲得に費やした金額は、王者バイエルン・ミュンヘンに次ぐ高さだったというから驚きだ。将来的に値が上がると見込んだ若手選手を獲得したというのも、実業家ならではの計算が働いたのか。

そういうわけで、1部の壁もなんのその。2部でプレーした初めてのシーズンでさっそくリーグ2位になり、1部への昇格を決めた。現在は近くのシンスハイムに、3万人を収容する新スタジアムを建設中。総工費6000万ユーロ(約100億円)も、もちろんホップ氏のポケット・マネーから出ている。

ただそんな散財ぶりから、「金にものをいわせて即席で生まれたレトルト・クラブ」やしょせんは「金持ちの道楽」と言われるなど、批判的な声があちこちで上がっているのも事実。ならばやっぱり、最後は実力を見せつけるしかないだろう。来季におけるこのチームの活躍に注目だ。

ZDF.de
"Hoffenheim, der ungeliebte Aufsteiger"

悪魔と口笛禁止令 from UK

  • 2008/07/18(金) 17:24:40

英国の代名詞ともいえる、雨続きのお天気。もはや人間の力では変えようのない同国の負の一面かと思いきや、ところがどっこい、スコットランドにおいてこの低気圧な空模様を少しでも改善させようとする試みが実施されているのをご存知か。その方法とは意外にも、「口笛を禁止する」というものだった。

スコットランド北東部のバンフシャーにある、小さな海辺の街での話。かつて漁業が盛んだったこの地域では毎年、6月末頃になると、「トラディショナル・ボート・フェスティバル」と題した昔ながらの伝統的な漁船の記念運行を始めとするイベントを開催している。昨年度は、初日となる土曜日こそ晴天に恵まれるも、翌日は大嵐となったために1年がかりの準備が台無し。さらに、土曜日の夜中に誰かが口笛を吹いているのを関係者が耳にしたのが問題となった。

なんで口笛ごときが騒ぎになるのかというと、どうやら同地では「海沿いで口笛を吹くと、側にいる悪魔が小馬鹿にされたと感じて、仕返しに強風を送る」という言い伝えがあるらしい。悪魔らしからぬ繊細さというか器の小ささが露見するような興味深い伝説ではあるが、ともかく今年度は二度と同じ轍は踏むまい、ということで街全体に口笛禁止令が発 令されたというわけだ。

さて、禁止令というからには気になるのが、その罰則措置。実際問題、口笛を吹いただけで、逮捕された日には地元市民はともかく、旅行者はたまったもんじゃないだろう。この辺りを主催者のロジャー・グッドイアーさんに直接問い質してみると、「口笛を吹いているのが見つかったら即座に、現地関係者から警告が与えられます。それでも言うことを聞かないようなら、そんな奴は海に放り投げてやります」と何だかやる気満々。そう、彼らはこの禁止令を出すことで、イベントを大いに盛り上げようとしているのだ。もはや悪ノリの領域まで達しているといってもいいだろう。

今年度における本イベントの開催日は、6月20日からの3日間。さて、その期間に悪魔の出番は来るのか。でも、英国で雨が降るたびに自分のせいにされるんじゃあ、悪魔も敵わないけどね。

BBC Online News
"Superstitious town bans whistling"